昼下がりの快楽

奥さんと息子が春休みで里帰りしているので、この週末は自宅で留守番。天気もいいし絶好の花見日和なのだが、持ち帰りの仕事もあるから外出もできない。浮かれちゃうとモティベーション下がっちゃうからね。そんなわけで一人で昼食。ちょいと自転車を走らせて、菜の花とハマグリを仕入れ、「菜花とハマグリのパスタ」をつくる。

スパゲティの量はたっぷり160グラム(^^ パスタの銘柄は最近ではすっかりおなじみになったDe Cecco。一人暮らししていた学生の頃からのお気に入りだ。きょうはソースを絡めないのでちょっと太めのNo.11。春になるとこのパスタが食べたくなるが、今年はまだつくってなかったので気分が踊る。ハマグリの品のよい海の香りと菜の花の軽い苦さと甘さを含んだ香りがオリーブオイルとニンニクの強力タッグとコンビを組んで、口のなかで旨さがはじける。「ウマイ!」 この至福があるから料理は面白い。オーディオの音を決めるのも、音楽家が音楽をうまく聴かせるのも、料理を作るのも、何を組み合わせてどんな味に仕上げるかを、基本と手順をを外さずにまとめあげるという意味では近いと思う。
BGMはラルフ・タウナー(g)とゲーリー・ピーコック(b)のデュオ「ORACLE」。調理開始から食べ終わるまででちょうどCDが一回終わる。至福の余韻を楽しむために、もちろんもう一度はじめから聴き返す。

作り方は簡単
 *ニンニクをみじん切り(あるいは輪切り。もちろんつぶしてもいい)にし、赤唐辛子といっしょにオリーブオイルで香りを出す。常温から弱火でじっくり香り付けするのがポイント。
 *ニンニクがキツネ色になる少し前にハマグリを投入(ニンニクをソテーし過ぎるとあとで苦みが出ます)。火を弱火から中火にし全体に火が回って温度が上がったところで白ワインをひとまわしして蓋をする(要はワイン蒸し)。
 *この間、もちろんパスタを茹でるわけですが、塩味は海水程度(かなり多めです)。この塩味があとで大事になります。調理開始とパスタを茹で始めるタイミングがけっこう重要だけど、これは経験というしかない。ニンニクをじっくり香り出ししている時に茹ではじめるというのが目安。ハマグリは開くまでに結構時間がかかる場合があるので、注意が必要。
 *ワイン蒸しのほうは、ときどき様子を見て、水分が飛んでしまっているようならば、少しパスタの茹で汁を入れる。ハマグリが全部開きかけたところで、パスタの鍋のなかに菜の花を投入。茹で過ぎは禁物。しんなりしたときがパスタの茹で上がりの時間に合うようにタイミングをとるのだけど、これがけっこう難しい。なにせ、横ではハマグリのタイミングもあるわけで。
 *ここからが至福の瞬間。茹で上がったパスタをニンニクたっぷりのハマグリのワイン蒸しをあえるのだが、忘れちゃいけないのが、ここにパスタの茹で汁をオタマに一杯ほど入れて、オリーブオイルと茹で汁が乳化するくらいグリグリとまぜること。これをするのとしないのとでは、味がぜんぜん違う(ペペロンチーノのときも同じ)。人に出す時には、ハマグリに身が外れないようにハマグリをいったん取り出したり、パスタを入れる前にあらかじめ茹で汁を入れて乳化させるけれど、一人のときはそんなことはしない。貝殻もいっしょにグリグリする。このグリグリが快感なわけです。
*最後に味見。たいていは茹で汁で充分な塩味がついてるので塩味は不要です。わたしはこれにパセリを細かくちぎって乗せるだけ。

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てなことを書いてるうちに、もう3時じゃないか! レシピ書いてる場合じゃないぞ! (といいつつ、夕食の献立を考えていたりするおバカな俺/笑)