初聴き

というわけでネタがないので、初聴きの話題でも。今年の初聴きはウゴルスキの弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番他。32番はベートーヴェン最後のピアノ・ソナタである。しかし本当は、そのソナタよりも同じCDに入っている「エリゼのために」が聴きたかったのである。これは本当にすごい演奏なので、お聴きになっていない人はぜひ聴いて欲しい。書き始めると長くなるので、あまりくどくど書かないが、世俗的なショート・ピースと思われがちなこの曲は、じつは本当によくできた小品なのである。機会音楽に分類されてしまうのこの曲を録音したいがために、ウゴルスキはわざわざもっとも抽象的な最後のピアノ・ソナタカップリングしたのではないかとさえ思いたくなるほどで、この演奏に出会ったときには、本当に生きていてよかったと思った。だって「エリゼのために」でこんな演奏が聴けるなんて、想像だにしなかったもの。
ウゴルスキには「展覧会の絵」の録音もあって、これはアファナシェフの録音と個人的には双璧をなす演奏なのだが、これも独特だ。最後の「キエフの大門」をなんとppで始めるという離れ業をやってのけたりしている。これも、お勧めの一枚。
さて、仕事に戻らねば…。やれやれ。