Fidelix/SH20K

id:Naryさんのところで、NickさんがFidelixのSH20Kをダブルで使っていると書かれていたので、しばらく休眠していたSH20Kをつないでみた。もちろん俺んとこはシングルである。休眠していたのにはいくつか理由があって、真空管アンプにしてからそれまでの石アンプのときよりも効果が現れにくく感じたこと、そしてSH20Kの欠点として回路内部のチョークコイルがクロストークを発生させて、たとえば電源を切った状態でも入力レヴェルが大きいとチリチリと音が漏れるので、再生時にそれが純正な信号伝送を妨げているのではないかという精神衛生上の問題からだ。はじめこれは俺のSH20Kが悪いのかと思ったが、何人かの人から同じことを直接聞いたので、個体の問題ではないと思うが、Nickさんのところはどうなのだろうか。とはいえ、よく考えれば電源入力状態であれば信号の流れは妨げられないわけだから、余分なクロストークが滞留してしまうこともないとは思うのだが、本当のところはわからない。でも、本当の理由は別なんだよな。
で、久しぶりにSH20Kをつないだ音を聴いたわけだが、やはり効果はある。優秀なアナログ録音のデジタルリマスター盤なんかを聴くとよくわかるのだが、無理矢理カットされた倍音成分が付加されることで音の角がとれてよりクリアになるし、聴きづらい刺激もなくなる。とくに、オーケストラで強打されるシンバルの音やトライアングルの音、グロッケンの音などを聴けば一聴してわかるはずだ。擬似的に20KHz以上の倍音成分を付加するなんて所詮偽物だという人もいるが、アナログにしたってもとのテープに記録された倍音を板に刻み込んだ瞬間に擬似的な倍音になるに変わりはない。なにせ溝を針で引っ掻くのだから。それはともかく、SH20Kのネックはもっと別のところにある。ケーブルの存在である。スーパーツィータなら接続線はスピーカケーブルの延長としてみられるが、ハーモネータの場合CDPとアンプの間に余分に2本のインコネが接続されることになる。つまりそれだけケーブルの色が乗りやすいわけだ。一聴してわかる変化を感じる部分など限られているから、倍音という空気のような微妙な違いよりもケーブルの持つ色の違いのほうが大きく現れてしまうと、なんだか有り難みが薄れてしまうのだ。結局これが俺がSH20Kを休眠させてしまったいちばん大きな問題だし、効果の割にあまり普及しなかったのも、そんなところにあるのではないだろうか。実際、久しぶりにSH20Kをつないで聴いてみても、ケーブルの存在が気になってしょうがない。「これ」という定番ケーブルがあれば少しは違うのだろうが、俺が気に入っているインコネ高いんだよね。
ただ、こうして改めて聴いてみると捨てがたい魅力はあるな。もう引退させてヤフオクにでも出してしまおうかと思っていたのだが、ちょっと考え直した。それこそ、Nickさんのように左右チャンネルにダブルにしてより効果的に使うことができたら面白そうだな。現実化は難しいけど。とりあえず、しばらくまた復活させてみる。Norman氏のRosevoixのインコネが良かったらCDPまわりはそれで固めてもいいし。