吉野家

 最近オーディオ・ネタが枯渇している。ので、牛丼の話。
 BSE問題で米国産牛肉の輸入禁止措置が施行されて以来、昼食で久しぶりに吉野家の牛丼を食べた。俺のなかでは「牛丼=吉野家」なわけで、分家筋の松屋すき屋の牛丼は記憶のかなたに消えるくらい以前に一度ずつ食べただけ。
 生まれて初めての牛丼体験も吉野家だった。高校の近くに新規開店した店に友人と学校を抜け出して(日常茶飯事のことだが)食べた牛丼の値段は、開店記念セールでたしか「50円!」だったと記憶している。
 ところで、きょう意外だったのは、まわりの人間がみんな「大盛り、ツユだく、玉子付」を注文していたこと。俺が食べている間に入ってきた連中も含め、8割がたそうだ(俺は食べるのが遅い)。話には聞いていたが、へえ、玉子をぶっかっけて食べる人間がこれほど多いんだぁ。俺もやってみようと思ったが、久しぶりの者としては、やはり基本はレギュラーだろうということで、しかしちょいといつもと変えて「大盛り、ツユだく」を注文した。ツユだくは初めてだなぁ。…なるほど、これに生卵が絡むわけか、アリかも。
 しかし、なつかしいねぇ、この味。
 先日の餃子の「王将」といい「吉野家」といい、味覚が先祖がえりしてる。
 牛丼を食べていたら、中島みゆきの「狼になりたい」を思い出した。

「夜明け間際の吉野家では
 化粧のはげかけたシティ・ガールと
 ベィビィ・フェイスの狼たち
 肘をついて眠る」

 そういえば、俺も吉野家を利用してたのは、つまみもそこそこに安酒を飲んだ深夜に、自宅の最寄の駅前で腹を満たす以外になかったなぁ。
 昼食で吉野家の牛丼を食べたのは、おそらく学生時代以来。