あれかこれか

などというとキュルケゴールのようだが、ただの選択肢であるなら実存的な見出しをつける必要などない。いま突き当たっている問題は、たいへん気に入っているパワーアンプに見切りをつけ、もっと扱いやすいパワーアンプに代えるかどうかということだ。恋人レギーネと訣別したキュルケゴールの葛藤のように、このままSA-8に付き合っていると、なんか本来的な音楽の楽しみとかオーディオの魅力とかから離れていってしまうような気がするのだ。
ってなことは半分は方便であって、機械の状態がどんどん悪くなる一方なのである。ハムノイズくらいなら修理すればいいと思っていたわだが、右チャンネルの初段のコンデンサ真空管、果てはリード線に触っただけで、スピーカがその音を拾うようになり、基盤に触れても接触不良のようなノイズが出るので、窮余の策で2階建ての基板に割り箸で柱を作って支えにしてみたりしていると(不思議だが、こうすると音も拾わないし基板のノイズも出ないのだ)、どこか致命的なことが起きていると考えざるを得ない。危機的な状態にある患者に生命維持装置を施しているようなものだ。(書き忘れたが、それによって右チャンネルが明らかに弱い。ボリュームを最小に近づけるとまったく聞こえなくなる)
MOS-FETが逝かれていたら、OHにまわしても部品の調達も難しいだろうから、わざわざコンデンサを奢ってみたり、OHしたりするための金があるなら、その資金をもとに、別のパワーアンプを買ったほうがいいような気がしてきた。
SA-5.1のほうは、できるかぎり手を尽くしてやろうとは思うのだが、SA-8は…なんか疲れてしまった。

本日のCD

疲れたときには、こういう音楽がいい。
ブルックナー:ミサ曲第2番
フリーダー・ベルニウス指揮, シュトゥットガルト室内cho, ドイツ管楽po.[ソニーミュージックエンタテインメント
う〜ん。こいつも廃盤か? HMVでもTowerRecordsでも引っかからないな。この曲ではこれがいちばん気に入ってるのだが。比較的少ない合唱団の一人ひとりの声が聖堂に反響してひとつの響きなる…。ヴィブラートを徹底して廃した歌唱がブルックナーの和声の美しさを際立たせる名演。