とりあえずのDAC試聴

組み立てが終わった「じんそん球バッファDAC」をあれこれのソースで聴いてみた。全体的な傾向としては、音がひじょうになめらかな印象だ。低音もちゃんと沈むし、中域から高域にかけてのつながりもスムーズだが、同じARCAMのCDPを使っているid:Naryさんが書かれていた「濃い音」というような感じはそれほど強くない気がする。パワーアンプがもともと重量級の音であるせいもあるだろう。ただ、たしかに陽性で屈託のない音とはいえるかもしれない。DAC単体の試聴サンプルなどないから、CDP内臓のコンバータと比べるしかないが、なめらかなんだけど、フルオケなどでは高域が神経質に強調される。高域にキャラクターが乗るぶん中低域の倍音成分も高域側が強調され、たとえば木管楽器の質感がのらずちょっと軽い響きになる。クラリネットオーボエのリードを薄く削り過ぎてふくよかさや芯が弱くなったときの感じにちかい。つまりホールトーンがうまく乗らないのだ。したがって奥行きが狭く平板に聞こえる。ソナタ室内楽では逆になめらかさのほうが前面に出て気持ちよく聴ける。高域のキャラクターが演奏者の身近で聴く感じをうまく表現していると思う。…でも、ケーブルはありあわせのオルトフォンのアナログRCAだし、エージングもまだこれからだから、いま書いたことは暫定的な印象にすぎない。しばらく、内蔵DACと切り替えながら楽しんでみる。
あ、それで球による違いだが、はじめはSOVTECの6DJ8、次に同じ構造の(工場も同じ?)Philips ECGの6DJ8、そしてAMPEREX笛吹童子の6DJ8を試してみた。結果、SOVTECが上に書いたことがもっとも強調される。Philips ECGは傾向は同じだが、音に厚みが加わるぶん幾分聴きやすくなる。もっとも聴きやすかったのがAMPEREXだった。SA-5.1に使ったときには、品はいいのだがどこか音が甘くなり焦点がぼける印象のあったAMPEREXが、高域の神経質な響きを程よく中和している感じだ。