最近のお気に入りCD

オーディオについては、仕込んでいるものが届くまでネタがないので、最近お気に入りのCDの話など。
きょうはコレ(ミヒャエル・ギーレン指揮南西ドイツ放送交響楽団によるマーラー交響曲第3番ほか)。ギーレンのマーラーは派手じゃないし、どちらかといえば音色の変化にも乏しい分析的な演奏だが、マーラーの奇形性や諧謔性も非常に緻密に描かれながら全体が構成されているのでけっこう好きである。しかし、このCDがお気に入りなのは、マーラーのほうではなくて、シューベルトの《ロザムンデ》とウェーベルンの〈オーケストラのための6つの小品〉のためである。面白いのは、ロザムンデの4曲の音楽にウェーベルンの作品を織り込んで全体をひとつの作品のように演奏していること。つまりシューベルトの音楽が終わるたびに休みなくウェーベルンの音楽が続くという構成なのである。いってみれば、19世紀初頭のウィーン初期ロマン派の音楽に20世紀初頭の新ウィーン楽派モンタージュされているんである。これは本当に面白い。違和感を感じるどころか、ウェーベルンがいかにウィーンの古典的伝統に根ざしているかが手に取るようにわかる。ドイツの現代音楽系の指揮者はシューベルト新ウィーン楽派の連続性を考えるのが好きなようで、ハンス・ツェンダーもやはりシューベルト交響曲ウェーベルンカップリングしている。ただ、惜しいのは、ギーレンのマーラー交響曲全集もツェンダーのシューベルト交響曲全集も新ウィーン楽派は割愛されていること。初出CDの面白さをちゃんといかしてほしいなぁ。