電源ケーブル

最近、真空管パワーアンプというのは電源ケーブルとの相性が、かなり音に影響すると感じている。石よりも球のほうが電源ケーブルの支配力が大きいように思うのだ。それも、価格にまったく比例しないのが面白い。メインのMC805AAにはCamelotのPM-600が不動の存在なのだが、TU873LEに使う電源ケーブルをあれこれ試してみたところ、もっとも相性が良かったのが、お蔵入りしていたいちばん安価な根岸通信のやつだったりするのだ。PM-600だと情報量は増えるのだが窮屈な感じになるし、CardasのHexlinc5Cだと柔らかい音色でたしかに聴き易いがどこか焦点が定まらない感じになって、どちらもせっかくの300Bのヴィヴィッドなライブ感を活かしきれない。PM-600の元値は根岸のケーブルの7倍くらい、Hexlincなんて10倍近いのにな。というわけで、TU-873LEには根岸のケーブルが収まっている。じつをいえば、この質感を活かしながらもっと音全体のクオリティをあげる電源ケーブルが欲しいのだが、買ってみて相性が合わないというのも癪だし、躊躇してしまうのだ。順当に考えれば根岸の上位機種なのだろうが、基本的に同じ線材を使って、プラグとインレットを替えただけでどれほどのクオリティアップが図れるのか疑問が残るし、能がない気もする。
電源ケーブルごときにあれこれ試行錯誤するのもなんだが、実際に影響が大きいのだから仕方がない。