樽スピーカ キタ!ーーーーーー

とウキウキ気分で軽く流したいところだが、村瀬さんのところで充分試聴はしてきたので、初物の感慨はそれほどないし、昨日書いたように、村瀬さんのところで聴いた音と自宅で聴いた音とではかなり違うので、そっちのほうにこちらの興味も集中する。で、何が違うかというと、Windsで聴いたときの印象は先日書いたように、jazzやピアノの撥音系の弾むような音はすばらしいが、クラシックの弦楽器のような持続する音が中心の音楽だと低音が響きすぎて、その制御が課題になるだろうということだったが、俺のとこで聴くとあまり気にならないのだ。たしかに、チェロ・バスの低音部のある音域に胴鳴りという以上の低音の共振があることもあるが、Windsで聴いたときのように低域全体が響きすぎて音程を聴き取りづらくしてしまうことはないし、充分許容範囲だ。むしろ、もっと深く沈んでもいいぞという低音なのだ。しかしこれが撥音系の音だと充分元気のいい低音になるから不思議だ。また、樽の箱のせいなのか部屋のせいなのかはよくわからないが、同じ周波数域でもピアノの最低音域だと共振がほとんど起きない。ふ〜ん、面白いものだ。低音については新素材系の共振抑制シートでも使えばクリアできるかもしれないな。それにしても、こうも環境によって響き方が違うというのも面白い。村瀬さんのところはWindsのHpを見ればわかるように、スピーカは暖炉のコーナーに並べられているので後ろはレンガなわけで、リアバスレフ(もちろん箱全体も含めて)から反射した低音が、反対側の壁との間で定在波を発生させているのかもしれない。俺のところは、スピーカから音の出る方向に平行の面を作らないように部屋を対角線に使っているから、一次反響はずいぶん抑えられているとは思うし、スピーカの間隔も広くとり、さらに機材は床の間風の空間にすべて納めて奥行き側の空間も充分に確保しているから(家族の都合上それほど大きくないテレビだけは置いてあるが)、ある程度定在波も抑えられているのではないかと思う。こうしたことが低音の響きの違いに関係しているのだろう。
置き場所も、実際に鳴らしてみるまでは、Towerの上に置いたんじゃ間隔が広すぎるかなとも思ったが、間隔が広くとも中抜けもなくいい感じの音場をつくっている。小さいくせにほんとよくできたスピーカだ。
これならクラシックも問題ないな。という以上に、Windsで聴いたときには低音の問題もあって、音色的にもまったくバランスがとれなかった弦楽四重奏なんか妙に艶っぽい音だし低域〜高域のバランスもなかなかよい。いま、ちょうどシェーンベルクの「浄夜」のオリジナルの弦楽六重奏版が鳴ってるけど、耽美的な雰囲気をよく出してる(SA/F80AMG というユニットのせいもあるだろうが)。フルオケだって、mandanaさんが試聴用に持って来たペッタションの交響曲(!)をしっかり鳴らしていた。さすがにどっしり腰の据わった大迫力というわけにはいかないが、楽器の定位もきっちりしてるし、金管木管がホールの広い空間に響く気持ち良い余韻なんかもよく表現してくれたりする。ピアノはもともと得意だし。――もちろん、すべてをカヴァーしようというのは無理な話で、とてもこれでブルックナー交響曲をじっくり聴こうとは思わないが、jazzはしっかりハマるし、小編成のクラシックなら充分だな(jazzでもECMのコンテンポラリー系にはあまり向いてないかも)。というよりも、ジャンルについてもけっしてオールマイティというのじゃなくて、楽器編成や使っている音域などがハマると面白いということなんだと思う。それだけ強いキャラクターをもっている。
総じて、とにかくこいつはハマる音とそうでない音が明確に分かれるし、部屋の環境や機材に恐ろしく敏感なスピーカであるということでmandanaさんとも意見が一致。で、これが前振りとなって、platyな金田式の話につながるのだが、それは次回ということで、また話を引っ張る俺であった(笑)