platyな金田式プリ(続)

樽スピーカが来たことによって名目上メインに昇格したDali Towerだが、樽スピーカを聴くと、樽とはまったく逆の意味で厄介なスピーカであることに改めて気付いた。ロックや電器系の音にはまったく相性が良くないなど、ソースを選ぶことから薄々感じてはいたのだが、スピーカの色が強すぎて、機材を替えても多少のことではその変化が表立って表れないのだ。樽スピーカのような極端に敏感なものと比べるとそういった特徴がより際立つ。俺みたいにオーディオの経験が浅いとなかなかそういうことに気付かないんだな。Towerみたいなスピーカは機材の比較試聴には向かないと痛感した。
というのも、id:mandanaさんが樽スピーカの行商にみえた際に、樽スピーカを使ってSA-5.1とpatycerusさん製作の金田式プリを聴き比べて、前日にTowerで両者を比較したときと聞こえた音とまるで違うので驚いてしまったからだ。もちろん、Towerでも細かい差異は聴き取れるから大筋では先日書いたことに変わりはないのだが、platyな金田式プリからSA-5.1につなぎかえたとたんTowerの個性に隠されてしまっていた音楽の「表情」が一変してしまったのだ。樽スピーカ恐るべしと感じたと同時に、SA-5.1の底力を感じた瞬間である。おもわずmandanaさんと顔を見合わせてしまった。−−と書くとplatyな金田式プリが完敗したように思われるだろうが、そうではない。たしかにペッタションの音の洪水のような交響曲だと、音の存在感は歴然と差がでてしまう(先日「音のざわめきというか存在感はこちらのほうが一日の長がある」と書いたことだ)。しかし、platyな金田式プリはもともとこういう音楽向きにつくられていないと思うし、mandanaさんにしろ俺にしろ基本的にドロドロした音楽が好きでcounterpointのプリの音に惚れ込んでる点で共通しているから、platycerusさんが志向される音は絶対的に不利なのだ。実際、platyな金田式でjazzを聴くとハイハットの響きがなんともリアルでブラシを掃く音なんか涙ものというくらいきれいだし、ベースのアタックも音域によるばらつきがないところなど、SA-5.1ではかなわない。クラシックでも、例えばヴァイオリンのトレモロや細かいざわめきのような細かい音型などが全体の音に埋もれずにきこえるし、先日書いたような瞬時に押し寄せるうねりの表現など見事に聴かせる。全体的に見ても高解像度でスピード感があるというだけなのではなく、音にちゃんと芯がある。要は、個々の音を取り上げればplatyな金田式に軍配が上がるかもしれず、counterpointのプリのほうは音の存在感という一点で勝負しているといっていいかもしれない。ただ、そこに惹かれるものとしてはそれが何ものにも変えられない魅力なわけである。(強調文字ヌケ、修正)
SA-5.1との勝負から離れてみれば、ダイナミックレンジも広いしどの帯域もとてもクリアな音でバランスがいいので、単体で聴けばマイナスポイントをつける部分はない。欲を言えば、ピアノの高音域がちょっと金属的な響きだったりする傾向があるけれど、これに中域の厚みが加わると高域のクリアさがさらにリアルなものになると思うし、音の存在感ももっと確かなものになると思う。あと、DIYerの方達は、jazz好きの方が多いので、どうしても俺みたいなものが聴くと、似たような印象を持ってしまう。樽の音とplatyな金田式プリも、音そのものは似たような傾向があるよな気がするし……。音決めするときに、クラシックのオーケストラみたいな重層的な音なんかも射程に入れてもといいのではないかと、最近よく思う。
などど、まったく好き勝手なことばかり書いてしまってすみません(m_ _m) 材料費○円ということをまったく無視してますので、ご勘弁ください。逆に言えば、○円でこれだけの音がつくれるということが驚異です、ホント。