PPPアンプ、その後

5670+WE396A/PPPアンプを鳴らし始めて約2週間がたつ。相変わらず表現力の強い引き締まった音をきかせてくれているが、この間に起こった変化といえば、音の角がすこし丸くなったことに加え、分解能がアップしたこと。もう少し正確に言えば、表現力が強い故に多少暴れ気味だった音の粒子がきれいに整形され、そのために隣り合った一つひとつの音の分離がよくなった感じだ。要は、球やパーツが充分にこなれてきたということだろう。音が整ってきたぶん、バランス的には初段に使ったVishayの抵抗の支配力が強まった感じで、高域のピーンという張りが強めになってきた。これはLUCYさんの「想定どおりの」変化で、この段階でバランスをみてKeyの金皮抵抗に替えるという選択肢が用意されているが、先週来、仕事が詰まっていてなかなか手が半田ごてにまわる余裕がない――PPPのほかにも「青い秘密兵器」と「赤い秘密兵器」が控えており、前者はパーツ類はすべて調達済みであとはくみ上げるだけなのだが、それにも手がまわっていない。ので、試しにピンケーブルをVAN DEN HULから俺のお気に入りのGINGAに替えてみた。この個人製作のケーブルは少々お高いが空間再現性が見事で、音の粒だちがとても自然なので愛用している。VAN DEN HULは以前にPPPのピンケーブルを選んだ際にもっとも相性がよかったのだが、音が整ってきたうえで聴くとやはりバランスがよくない。GINGAに変えたら、伸びのある高域がピーンと張り詰める方向から、空間に広がるような変化がみられた。これはこれで充分いいバランスで、あえて抵抗を替える必要なないように思う。むしろ、これ以上高域成分を減らすと、個々の楽器の倍音や残響など、音楽にリアルさと潤いを与える重要なファクターにも影響が出てしまうような気がする。しばらく、これでいってみることにする。
しかし、相変わらず問題はケーシングである。LUCYさんの試作機に組み込んだままの基板を、早く借り物でない一戸建てに移住させてやりたいのだが。ケーシングの青写真はできてはいるのだが、なかなかそこから先に進む余裕が見つからない。「青い秘密兵器」も……。