知らぬが仏なのか?

khimairaさんのaquaにはDe-Emphasis回路基板がついていて、Emphasisのかかった録音のCDをかけるとLEDがつくようになっている。じつは、これまでEmphasisなんてまったく気にかけたこともなかった。だいいち時折カタログにデ・エンファシス・エラーなんて項目があることは知ってはいたが、それがどんなはたらきをするのかななんて知らないでもいいことだと思っていた。ところが、今回aquaを組みながらEmphasisなるものを調べてみたら、Emphasisをかけて高域ノイズの低減を図った録音は、De-Emphasis回路をとおさないと、高域が強調されたまま再生されるらしいではないか。一昔前のドルビーみたいなもんだ(じっさいどこが違うのか俺にはわからない)。ドルビー回路を使ってエアチェックしたカセットテープをドルビーoffで聴くと、妙に高域が強調された気持ち悪いバランスになったが、それと同じか。CD初期の録音に多いらしいが、最近でもEmphasisのかかった録音が時折あるらしい。
で、滅多にないんだったら、それに行き当たる確率も少ないだろうと思っていたところ、aqua試聴2枚目で、いきなりLEDが点いた。ムソルグスキー:展覧会の絵/ムソルグスキー:展覧会の絵91年の録音で、機器のピアノの再生能力を聴くために常用しているCDのひとつだ。ということは、これまでのピアノの試聴はすべてEmphasisがかかったまましていたことになる。気になって、オケものはどうかと、インバルの一連のCDをかけてみたら、予想どおりEmphasisiがかけられている。じつは、オケものの試聴用に用いているCDのひとつも含まれている。バルトーク : 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 Sz.106(1936)まいったな。DENONのものがすべてそうかというと、どうも1992/3年以前の録音にEmphasisがかかっている。すべてのメーカーのCDをかけたわけではないが、いまのところDENON以外のCDでLEDは点かない。それにしても、CDにはEmphasis表示はないし、それをDe-Emphasis回路をもたないCDPなりDACで聴けば、本来の音よりも高域が強調された音で聴いていることになる。じっさいに、aquaからDe-Emphasis基板を外して聴いてみる聴き比べてみると、ドルビーONテープをOFF→ONで再生した時ほどではないが、たしかに高域のきつさがなくなり自然な感じになるのである。これはCDメーカーやオーディオメーカーの対応の悪さ以外の何ものでもないのではないか? なぜこんなことが許されてきたのか、俺にはまったく理解できない。
知らぬが仏なのか? Emphasisのかかった音を聴いてあれこれ試聴してきておかしいと思わなかった俺も駄耳ではあるのだが。