オーディオの機械やCDのジャケットなどといった内向きのブツの写真ばかりじゃなくて、たまには季節を感じさせる陽光の写真でも載せてみる。わが家の庭に咲いた馬酔木(あせび)の花。なぜ馬が酔うと書くのかずっと不思議だったのだが、数年前に毒の本を編集した際にその謎が解けた。この木の枝葉にはアセポトキシンという毒があり、人や動物が誤って口にすると嘔吐や痙攣など神経毒特有の症状を起こし、馬がこの葉を食べると酔ったようになるところからその名が付いたらしい。しかし、実際には馬はこの葉は食べないというからおかしな話だ。
実際に存在する動植物に由来する毒の名前には、しばしばその動植物の名前の一部が使われることがある。おそらくこのアセポトキシンという名も馬酔木から抽出されたことから付けられたのだろう。ちなみに、トキシン(TOXIN)というのは自然界から抽出された毒のことをいい、ポイズン(poison)は人為的に調合された毒のことを指すというのが一般的な毒の分類。つまりトリカブトの有毒物資であるアコニチンはトキシンに分類され、サリンはポイズンに分類されるわけだ。あとヘビ毒やハチの毒のような動物が本来もっている毒はヴェノム(Venom)に分類される。われわれにとってはひと口に「毒」といっているものも、ものごとを分類し序列化することに情熱を燃やした西洋的思考にかかると、そのようになるわけだ。
ま、そんなことよりも、わが家の馬酔木である。数年前までは白梅が花を付けるのがわが家の庭の春の訪れだったわけだが、白梅が枯れてしまったので、今年からは馬酔木の花がその役割を引受けることになった。もうすぐ、カメも冬眠から覚めて水槽の水面からちょこっと頭を出すだろう。
きょうは、飲み残しの赤ワインを使って鶏肉のワイン煮をつくり、一日遅れの奥さんの誕生日を簡単に祝ってあげよう。