TDA1543えぴ 1st.Impression

致命的なミスとはいえない粗忽ネタを提供しただけで、なんとか音出しにこぎつけた1543えぴだが、インプレッションのまえに、しおらしく謝辞から。
いつものことだが、回路のことなどほとんど理解していない俺が曲がりなりにもこうしてDACなんかを組み立てられるのは、ほんとうに先達たちのおかげ以外じゃなくて、あらためてここでお礼を申し上げる。それも、一昨日も書いたように、先達たちの実験や作例のいいとこ取りをするというハイエナ工作であるにもかかわらず、嫌な顔ひとつされず惜し気もなく情報を提供していただける先達にはほんとうに感謝している。いくらご自身のblogなどでその多くは書かれているとしても、テクニカルなことや用語などを読むと外国語のように思える俺にとっては、それが何よりの手引きとなって、挫折しそうになりながらも、なんとかやっているわけである。俺からは、先達たちになにもお返しすることができないのが心苦しいところではある。

ということで本題。まず、デフォルトからの変更点から書いておく。
1)デジタル電源部のOSコン以外のOSコン指定部分はPhilips/MKT9546:330nKとし、できるだけフィルムコンで構成した。
2)アナログのLED電源出力のOSコンもERO/KP1830:0.033uF+2Ωに変更。これはLED電源部を設計されたPROSTさんの実験結果に基づくもの。
そのほかの抵抗やコンデンサは基板の設計者であるJINSONさんほか数人の先達たちの意見をそのまま採り入れた。現在カップリングにはMulticapを用いているが、ちかぢかDynamicapに交換する予定である。

で、肝心の音だが、聴きはじめて5時間ほどというエージング途上で書けることでいえば、まずなによりも、音離れがとてもいいことに加えて、これまで聴いてきたJinsonnさんのどのDACよりも音の粒だちがよくそこになんともいえない潤いが加わっている。さすがにjinsonさんの1543DACの集大成に位置づけられるDACである。みなさんが賞賛するのももっともな音。じつをいえば、jinsomさんの音づくりは俺の好みとは別のベクトルを持っているのではないかと感じていたのだけど、こいつは違う。これまでのDACに共通している特徴は、まず音の力強さと音色の鮮明さがベースになっていて、そこにいくつかの要素を加えたり引いたりしているような印象があったのだが、これは余分な要素がいっさいない。ベースとなっているものは同じなのかもしれないが、ことばは悪いが作為を押し付けてくるところがない。余裕を感じる音なのだ。それが集大成をつくった意図でもあったのかもしれない。これはkhimairaさんのHotRedとAquaの違いでも感じたことだが、それまでの蓄積を掛け算するのではなくて、解析することで音のベクトルを確かなものにしているといったらよいだろうか。
たとえばそれは、さきに書いた音の粒たちと潤いという以外にも、jinsonnさんのこれまでDACにはあまり聴かれなかった音の特徴として、静寂と空気感の一体化、そこにくっきり浮かぶ音像、澄んだ余韻などとなってあらわれているように思う。ひとことでいえば、安心して音楽に浸れる音なのだ。
個々の具体的な音については、まだエージング途上なのであまり書き過ぎてもいけないかもしれないが、撥音系の再現性は見事の一言。OREGONのコリン・ウォルコットのタブラなど硬い皮が振動するのが感じられるし、ラフル・タウナーの12弦ギターのピックの動きまで見えるようだ。フラジョレットを使った12弦ギターなどで高域がカサついて聞こえたり、オケのヴァイオリンセクションにすこし音の濁りが感じられるのはエージングで解消されることを期待。現時点で、一点だけ?なのは、フルオーケストラの強奏部分で、本来ならいちばん上のほうで天井にあたっておりてこなければならない金管楽器の音が―とくにトロンボーンで感じるのだがー木管楽器よりも低い位置にきこえてしまうのだ。単独で鳴っていれば感じないのだが、不思議。たぶんエージング不足による帯域バランスの乱れだとは思うのだが…、いやそう思いたい。

以上がファースト・インプレッション。エージングがすんだら、また続編を書くつもり。その頃にはカップリングもDynamicapになっているだろうし、たぶんデジタル段もLED電源基板から電源を引っ張ってきていると思うし。
[お願い]
ところで、これはどなたかに対処を教えていただきたいのだけど、終端抵抗直前の電圧が左4.2V、右3.5Vとかなり開きがある。そのせいで、どうも音像が左によって聞こえる。プリのTRIMコントロールで対処しているが、精神衛生上よくないので、おわかりのかたがいらしたら、コメントでもメールでもいいのでヒントをいただければウレシイです。

[追記](6.9)
左右の電圧差の原因は、右チャンネルの1543ソケットピンの1つが半田付け不良だったことによるものでした。現在、左右とも4.5V+-0.2Vで収まっています。こういうところにスキルの甘さが出ることを、ふたたび学習したしだい。