アンプ2題

ELCTROCOMPANIET/AW100DMB(Power Amplifier)
 これは、1月の末に“あれじファイト”さんが売りに出される前に視聴用にお借りしたものの、あまりに素晴らしかったので、そのまま譲っていただいたもの。(写真は以前に掲載したものと同じ)

 裏から黒く塗し金文字のメーカー名を刻んだ10mm厚のアクリル・フロントパネルは、このメーカーのトレードマークであるが、このデザインはかなり部屋を選ぶ。
 まず、1月31日の日記に書いたように、このアンプは「音の密度が濃いのに透明感があって、楽器の存在感が浮き立つ」のがいちばんの特徴だ。また、低域の押し出しと制御は見事で、深く沈む低域の厚みと反応スピードの速さが両立しているので、下手なアンプだとだぶつき気味になるこのスピーカ(DALI:RoyalTower)から、豊かで締まりのある低音が聴こえてきたのは驚きだった。
 しかし、なんといってもすばらしいのは重心の低い構えから広がる空間の広がりで、音場が左右・奥行きとも1.5倍くらい広がったように聴こえる。しかも、これもデュアル・モノラル構成のメリットだろうが、楽器の定位が見事なのはもちろん、個々の音が楽器の筺体からあふれてくる感覚はまさにライブで聴く楽器のもので、それが全体の響きの安定感にもつながっていると同時に、音の立ち上がりのわずかな肌理の変化を存在感のあるものにしている。
 参考までに書いておくと、このアンプのスピードの早さは、フィンランドのマッティ・オタラという物理学者(ハンマーカードンのサイテーションXXの設計者なんだそうだ)の「オタラ理論」なんてものに拠っているようで、なんでも「アンプの一般的な静特性よりも、スピーカに接続された状態での動特性を重視」しているのだそうだ。わけのわからないまま引用を続けると「スピーカからの逆起電力が瞬間的に超低インピーダンス状態を生み出すことに注目して、瞬時電流供給能力を高め、回路全体をハイスピード化することに留意している」…ということらしい。

 ところで、これまでじつは低域については、スピーカの能力の限界と勝手に思い込いこんで、あまりその再現性には注意を向けてこなかった。それが今回AW100DMBによって、浅はかな思い込みであることに気付くことになったわけだが、それがさらに次のSA-5.1のMichael Elliott推奨のUpgradeTuneの話につながることになるのであるが、それは次回。