STAXでSA5.1を聴く

端子不良で休眠中のシステムだが、きょうになって仕事で聴けなければならなくなった。真空管アンプに替えてから出番のなくなったARCAMのA-80をつなげようかと思ったが、機器のつなぎ替えが面倒なので、STAXのイヤースピーカーSR303で聴くことにした。5年程前に当時の劣悪な環境で集中して音楽を聴くために買ったものだから、最近はあまり登場の機会がない。ヘッドホンの音場感は好きじゃないのだ。きょうはオケものなのでまぁ我慢できる。これがピアノ・ソロだったりしたら、ピアノの中に頭を突っ込んだような感覚がどうしてもなじめないので、面倒でもつなぎ替えただろう。余談だが、以前ネットを徘徊していたら、ヘッドホンの音場を自然にするという自作ヘッドホンアンプを作っている人のサイトがあったが、左右から直に入ってくる音にどうやって奥行情報を加えたり、楽器のスケール感を小さくしたりするのだろう。
そんなわけで、SA-5.1の音をじっくりヘッドホンで聴くのは初めてだったが、DALIのTowerやSonusのConertinoから受けた印象とはずいぶん違った。SR303はSENNHEISERのHD600なんかと比べると、緻密な再現性よりも粒立ちの繊細な渋い音色で聞かせるタイプで、HD600をベルリン・フィルにたとえれば、シュターツカペレ・ドレスデンのような音だが、それでもスピーカから出てくる音に比べて明らかに力感が違う。とくに金管の強奏音など、ホールの天井に跳ね返ってほかの楽器の音をかき消す寸前の緊張感といったものがはっきり出てきて、ゾクっときた。音の奥行や楽器の定位が見事に決まるのはスピーカのときと同じだ。これまで、made in USA というよりもfrom North Europa のような音だと思ていたが、どうもそれだけではないようだ。音圧によって音の抜けが弱くびびり気味で、ちょっとくぐもった音色になるのは経年劣化したコンデンサなどのせいだろうから、それが改善されればとんでもないポテンシャルが顕在化しそうな気がする。それよりも前に、SA-8のメンテなのだが、ALTA VISTAに発注したサービスマニュアルがまだ届かない。
というわけで、一部休眠中のシステムの写真である。

SA-5.1の電源部はスペースの都合上ラックの上段のほうにある。いずれはcatty linkなどで売っているspiderラックなどにしてみたい。