「あれ」には参りました。

MC805AAのトランスのうなりを除けば、SA5.1も含めアンプの音には充分満足しているし、DALI Royal Towerの音もほかのものに替えるだけの必然性もない。クラシックを聴くことに限っていえば、国内で20万以内で買えるスピーカでこれ以上のものは思い付かない。このスピーカはちょい聴きでもそれなりの音がするから、オーディオ入門用にも需要が多いが、こいつの本領は、セッティングやアンプの性能で追い込むと、ちゃんと結果を出しくれる潜在力の高さにあると思う。故にスピーカはMITのAVt2ケーブルも含めて替える必然性がないわけだ……というわけで、未だに手付かずだったCDPにjinson球バッファDACに続き、同じjinson氏設計のDSIX基板「あれ」が加わったことで、いよいよ当初の音の原型を留めているのはRoyal Towerだけになった。「あれ」のことを書くのにずいぶん遠回りしたが、裏返せば、それだけ「あれ」が圧倒的な素晴らしい効果を上げており、ARCAMのCD-82Tがまったく別のCDPに生まれ変わったようにすら思えるということだ。
どういうことかというと、CDの音が鳴りはじめた瞬間に、空気感がまったく違うのだ。音の粒立ちや輪郭がくっきりして、ひとつひとつの音に濁りがない。どんな強奏部分であっても音象が乱れることはないし、故に当然、低音もビシッと締まるしグンと沈み込む。全体として余裕を持って音楽が鳴っている感じだ。中低音が弱いと感じていた球バッファも生き返ったように鳴り出した。いやあ、参りました。これなら下手にCDPのグレードアップをするよりも、確実に効果的だ。DSIXは一種のジッター低減装置だが、以前からあった低減装置とは違った発想であるという。だいたいのことは発案者に声をかけて製品化したアコリバのサイトを見れば概要だけはわかる。とはいえ、platycerusさんに送ってもらった完成版「あれ」の基板や構造をじっくり眺めたり回路図を見たりしても、なんでこれがジッターを減らしたりするのかなど、さっぱりわからないのではあるが。platycerusさんとjinson氏に感謝。
それにしても、前にも書いたが、やはりCDのデジタル回路にかかわる音の変化は、アンプなどのアナログ回路の変化とは違った次元のものであることを、今回も改めて認識した。こうやって俺もどんどん深みにはまっていくんだろうな。
きょうも、NS-2のことは書けなかった。