複雑な思い

心身ともに疲労が蓄積しているときには、ピアノ音楽を聴くことが多い。きょうは、l武満の作品ラヴェルとプロコフィエフムソルグスキー、バックスなどを聴いた。いまは俺の葬式音楽に決めているシューベルトのソナタ第21番が流れている。
ときどき、MC805AAとTU873LEを入れ替えたりしたのだが、ピアノの音にかんしてはTU873LEの圧勝だった。フルオケの分厚い響きや地を這うような低音、解像度、音の分離などはとうてい805AAの敵ではないし、ヴァイオリンのソロやSQのヴァイオリンパートなどの高音など、先日も書いたようにちょっと安ぽい音にはなるのだが、楽器の存在感や音の肌理の確かさでは300Bを使ったTU873LEのほうがいい。805AAの明るく屈託のない豪放さは替えがたい魅力だが、ピアノの金属弦の響きや高域のタッチがうまく再現できない。というか873LE(300B)がそうした楽音に付随する要素の再現性には優れているということだろう。逆に、805AAにあって873LEにないものなど数えあげればむしろそのほうが多い。音のトータルなクオリティや完成度は805AAのほうが高いと思うし、上に書いたことが欠点であるとも思わない。実際、いろんなジャンルを聴かせれば、805AAのほうが好きだという人のほうが多いはずだ。むしろ俺のこだわりのほうが瑣末的である。
メインとして考えれば、トータルに対峙を迫られる805AAのほうがふさわしいのだが、しかし、アコースティックな音の肌理にたいする俺のこだわりからすれば、欠点だらけのTU873LEのほうが音楽に身を委ねられるというのも事実なのだ。なんか複雑な思いだ。