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もろもろの状況が好転しているわけではないが、気力だけでもポジティヴにならんといかん、ということで、昨晩は近くで事務所を構えている仲間と情報交換と称した酒宴を繰り広げたおかげで二日酔いである。ほどほどにせんとな。
で、音楽の話。何人かの方に滅入ったときに聴く音楽をコメントしていただいた。ありがたい。で、俺もあれこれ過去に聴いた音楽をつらつら振り返ってみたら、あった! ウラディミール・ホロヴィッツ(pf)ジョージ・セル指揮ニューヨーク・フィルハーモニックチャイコフスキーのピアノ協奏曲(1953年ライブ録音) この演奏については過去に出版物の中で何回か書いているが、ロシアの憂愁なんてとってつけたような感傷は微塵も感じさせない爆演である。とくにこの終楽章は異常である。ピアニストと指揮者がテンションの強さと速さを競う壮絶なバトルである。完全に狂ってる。解釈がメチャクチャだとかいうのではなく考え抜かれた演奏だが、とてつもないハイテンションが常軌を逸しているのだ。id:mandanaさんがラフマニノフのピアノ協奏曲第3番をパンクに喩えたが、この演奏はそんなものじゃぁない。こんな演奏をライブで聴かされたら破壊的な衝動に駆られること間違いない。――そうだ、気分をストレートに高揚させるにはコレしかない、というわけでCD棚を探してみたが、どこを探しても見つからない! 探すこと20分、ない。しばし沈思黙考…。「!」 少し以前に、友人が教えてくれたクラシック・データベースのサイトにあるかもしれない。著作権の有効期限は録音後50年なので、著作権切れの録音をMP3のデータとして公開している個人サイトだ。整理ができていない2000枚を超えるCDの棚や山から探すよりは、ココからダウンロードしたほうが圧倒的に早い。で、検索してみたら「ピンポーン!」当たり。さっそくダウンロードしてCD-Rに焼いた。――やっぱコレだよ! ものごとにはウラと表があるなんてあれかこれか的な迷いやウラを隠したまま表層に逃げ込むなんて小賢しい思考実験が馬鹿らしくなるような音の塊! あ〜スッキリした。
で、そのサイトだけど、「著作権は守るだけのものではなく、著作権が切れたものは人類の共通の財産として共有しなければならない」というポリシーのものに個人が運営しているのだが、まったくそのとおりである。こういうデータベースは、資料としても音楽を聴かなければならない俺みたいな人間にとっては本当にありがたいし、LPを売り払ってしまったまま再発CDを買ってないものも多いので重宝している。著作権の切れた古い録音しかないが、演奏様式の変遷をたどるにはいいデータベースだから、クラシックを聴く人はぜひ登録して管理人にエールを送ってほしい。http://www.yung.jp/index.php?action=results&poll_ident=32