視聴用CDを間違えた

 先日予告したAQUAと1541えぴの比較視聴をしようとして、まずはピアノ曲を聴いてみることにして、ずいぶん聴いていなかったポゴレリッチのブラームスの中期・後期のピアノ小品集をかけたのだが、聴き始めたらDACの視聴どころではなくなってしまった。演奏がすごすぎる。たしかに、この演奏はそう簡単に取り出して聴けるような内容じゃなくて、ひとつひとつの小品がまるで大曲に匹敵する小宇宙を形成していて、聴く者に極度の緊張を強いることはわかっていたのだが、そういえば、いまのシステムになってから聴くのははじめてだった(ということは、もう3年以上聴いていないわけか)。

ブラームス 3つの間奏曲 作品117・ラプソディ 作品79 他

ブラームス 3つの間奏曲 作品117・ラプソディ 作品79 他

――ちなみにポゴレリッチを知らない人のために。1958年旧ユーゴスラヴィア生まれのピアニスト。彼を一躍有名にしたのは、1980年のショパン・コンクールの3次予選で落選させたことにアルゲリッチが異議を唱え、本選の審査員を降りてしまった騒動。この録音はそれから10年以上たった1992年のもの。ポゴレリッチ独特の異常に研ぎ澄まされた音楽はさらに鋭さを増している。1998年以降、新録音はしていないようだが、ごく近年の実演では、鋭さよりも深みが加わった感じですね。つまりこのCDは、キレまくっている最盛期ともいえるCDなわけです――(青字追加)
 ピアノのタッチやぺダリングによる音色の変化や、低域・高域の音の響かせ方、内声部の音の動きなどをDACがどう聴かせるか、聴き逃すまいとすればするほど音楽にはまる。完全に選択を間違えた。
 しかし、いずれのDACにもいえることは、どちらもその音楽の凄みはじゅうぶん再現してくれること。って、何もいったことにはならないので、近日中に別のCDでやり直し!